韓国政府は2025年2月17日に国家AIコンピューティングセンター向けに1万台の高性能AIチップを今年中に確保する計画を発表しました。
1月22日に発表された国家AIコンピューティングセンター構築実行計画から始まり、2月4日に科学技術情報通信部長官が「遅くとも2027年初めまでに3万台を用意する」と発言して以降の具体的かつ短期的な目標設定となります。
本記事では国家AIセンターの詳細や他国の取り組みについて見ていきます。
国家AIコンピューティングセンターの詳細
概要
- 官民投資による特別目的会社を設立
- 持ち分比率:官51%、民49%
- 規模:1EF(ExaFlops)以上(スパコン富岳の50%以上)
- 予算:最大2兆ウォン(約2,100億円)
ポイント
- 目的:世界的なAI競争に対応し、韓国のAI産業の競争力を維持・強化する
- 構築場所:非首都圏(ソウル首都圏の電力不足、地域発展を考慮)
- サービス開始目標:2025年(前倒しでの実現を目指す)
- 段階的アプローチ:
- 9月までにAIチップの具体的な製品選定、予算、参加する民間企業を決定
- 初期:先端AIチップを導入
- 徐々に国産AI半導体の割合を拡大
- エコシステム支援:
- 国産AI半導体の活性化
- 政府主導のR&D協業
企業から国家へ
米国はAIチップの輸出規制(後述)を2025年1月13日に発表しており、今回のニュースも含めてAI産業における覇権競争が企業レベルから国家間の競争へと進化していると理解することが出来ます。
他国の取り組み状況
日本や欧州諸国など、技術先進国では国家レベルでのAI戦略を策定していますが、AIチップの大規模調達に関する具体的な情報は発表されていません。
ただ、前述した通り国家間の競争となりつつあるため他国も追随する可能性があります。
米国のAIチップ輸出規制
規制の目的
- 国家安全保障上のリスクを軽減すること
- AI分野での米国の優位性を維持すること
規制の枠組み
米国は対象国を3つのカテゴリに分類し、リスクに応じた輸出制限を設けています
- Tier 1(最小限の制限):
- 対象:米国および18の同盟国(日本、ドイツ、韓国、台湾など)
- ほぼ制限なくAIチップを利用可能
- Tier 2(条件付き制限):
- 対象:世界の大多数の国
- 2025-2027年の期間で約5万個のGPUに相当する演算能力まで制限
- 個別企業が米国の安全保障基準を満たせば、より高い上限を申請可能
- Tier 3(実質的な禁止):
- 対象:中国、マカオ、その他米国の武器禁輸国(約24カ国)
- データセンター向けのAIチップ出荷を実質的に禁止
施行時期
2025年5月13日(発表から120日後)に発効予定
まとめ
- この動きは米国が発表したAIチップの輸出に対応する側面もある
- 韓国は国家AIコンピューティングセンターの計画を前倒しで進めている
- AI産業における覇権競争が企業レベルから国家レベルに変化している
