本記事では、2025年2月10日にClaudeを開発するAnthropicが公開した論文を読み考察を行います。
この論文は、米国の労働市場を対象に、Claudeの約400万件の会話データを分析し、AIの実際の経済的影響を測定した研究です。
画像、数値は次の論文から引用しました。
https://assets.anthropic.com/m/2e23255f1e84ca97/original/Economic_Tasks_AI_Paper.pdf
AI利用が多い職業カテゴリー


オレンジ色が左に来ていると職業の割合に比べてClaudeの利用率が低いという意味
例えば、プログラマは米国の全労働者の3.4%に過ぎないが、Claudeで行われる37.2%の会話はプログラミングに関するもの
もっとも利用が多いカテゴリは「コンピュータ&数学」で37.2%、次に「アート・メディア」で10.3%と続きます。
前者はソフトウェアの修正やデバッグ等のタスク、後者は執筆や編集などのタスクを含みます。
※Claudeはプログラミング力で有名なモデルであるため、「コンピュータ&数学」カテゴリが引き上げられている可能性があります。
もっとも利用が少ないカテゴリは「農業、漁業、林業」、つぎに「建物の清掃・メンテナンス」「ヘルスケアサポート」と続きます。
肉体労働を伴う職業が少なくなっています。
自動化か拡張か
Claudeがタスクの自動化のために使われているのか、ユーザーと協力し良い結果を得る目的で使用されているのかを示したグラフです。

拡張は57%、自動化は43%と拡張がやや多い状態です。
拡張には書類の不備のチェックであったり、英語学習の補助などが挙げられます。
AIを利用するタスクとその職業の割合

この図が示していることは以下の通りです。
- 36%の職業が少なくとも25%のタスクでAIを使用している
- 11%の職業が少なくとも50%のタスクでAIを使用している
- 4%の職業が少なくとも75%のタスクでAIを使用している
マーケティングマネージャー(50%のタスク)
- 市場調査分析や戦略立案などのタスクでは AI を使用
- 製品仕様の相談や展示会の調整などでは AI の使用が少ない
理学療法士(25%のタスク)
- 研究や患者教育では AI を活用
- 直接的な治療やリハビリの指導には AI をほぼ使用していない
Claudeが持つスキル

主なポイントは以下の通りです。
- 「読解力」「ライティング(記事作成、技術文書の作成など)」「クリティカルシンキング(文章の分析、論理的な推論など)」「プログラミング」などの認知スキルの登場率が高い。
- 一方、「機器の設置」「機器のメンテナンス」などの手作業に関するスキルの登場率は低い。
考察
ホワイトワーカーに影響
ClaudeをはじめとするLLMはブルーワーカーの仕事よりも、ホワイトワーカーの仕事に強い影響があります。実際、Claudeの利用はプログラマをはじめとするデジタル業界に集中しています。
肉体労働はLLMでは直接的に置き換えることができないため当然の結果です。ただし、効率化が進むことでブルーワーカーにも間接的な影響がでる可能性があります。
多くの職業で一定程度のAI活用が可能
36%の職業が少なくとも25%のタスクでAIを使用しているというデータがありますが、実に3分の1の職業で25%ものタスクでAIが活用されています。
米国のデータではありますが、日本も今後似た分布に向かっていくと考えられます。
マネージメントでの利用は低くとどまる
Claudeとの会話で「他人の行動や感情理解」が現れた例は25%程度、「意思決定」が現れたのは20%程度とマネージメントに関わるスキルでの活用は低くとどまっています。
参考までに「複雑な問題の解決」は40%程度、「クリティカルシンキング」は90%程度に上ります。
意思決定にLLMが利用されにくいのか、AIの能力が不足しているのかは明らかになっていませんが、他のスキルに比べて「他人の行動や感情理解」「意思決定」などのスキルは人間がアドバンテージを持つ可能性があります。
